酒は、人の喜怒哀楽そのもの(業務用酒販店社長)
東京都新宿区にある創業104年の業務用酒販店「佐々木酒店」。5月中旬、倉庫には、10リットルの生ビールのたる50本が山積みになっていた。社長の佐々木実社長(66)が、そのたるを数えながらため息をつく。
「酒類提供の飲食店への休業要請」を掲げる3度目の緊急事態宣言が、延長された。通常なら、倉庫には製造時期が1~2週間前のたるが並ぶが、1~2カ月前のものが出荷できずに滞留する状態が続いているからだ。
杯を交わしながら、楽しい気持ちやつらい思いを人と分かち合うことができる。だから居酒屋やバーカウンターには、客それぞれに物語がある――。そんな思いで仕事を続けてきた。それだけに「酒がなきゃぎくしゃくした世の中になる」と感じている。
出口の見えないコロナ禍。収束のため、誰かが身を削ることは必要だと理解はするが、酒自体が悪いわけではないのに、という思いは消えない。「早くまたおいしく酒が飲める世の中に戻ってほしいよ」(山口啓太)
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誰もが経験したことのない日々が続いています。様々な立場、場面の言葉を集めます。明日に向かうための「#コロナを生きる言葉集」。
Source : 社会 – 朝日新聞デジタル